ないぶせいめいろん |
内部生命論 |
冒頭文
人間は到底枯燥したるものにあらず。宇宙は到底無味の者にあらず。一輪の花も詳(つまびらか)に之を察すれば、万古の思あるべし。造化は常久不変なれども、之に対する人間の心は千々に異なるなり。 造化は不変なり、然れども之に対する人間の心の異なるに因(よ)つて、造化も亦た其趣を変ゆるなり。仏教的厭世詩家の観たる造化は、悉(こと〴〵)く無常的厭世的なり。基督教的楽天詩家の観たる造化は、悉く有望的楽天
文字遣い
新字旧仮名
初出
「文学界」1893(明治26)年5月31日
底本
- 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
- 筑摩書房
- 1974(昭和44)年6月5日