きたむらとうこくくん |
北村透谷君 |
冒頭文
明治廿二年、予の始めて上京するや偶(たま〳〵)銀座の街を歩し書肆(しよし)に於て一冊を得たり、題して楚囚(そしう)の詩と曰(い)ふ。予は之れを読んで其言の欝愴(うつさう)たるを奇としたりき。 同廿四年、予の遠江(とほたふみ)にあるや友人明石桜井君、一書を予に贈れり、題して蓬莱曲(ほうらいきよく)と曰ふ。是(こ)れ楚囚の詩と作者を同ふする者。 其夏余再び上京す。一日桜井氏が本郷の
文字遣い
新字旧仮名
初出
「国民新聞」1894(明治27)年5月22日
底本
- 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
- 筑摩書房
- 1974(昭和44)年6月5日