じんせいにあいわたるとはなんのいいぞ
人生に相渉るとは何の謂ぞ

冒頭文

繊巧細弱なる文学は端なく江湖の嫌厭を招きて、異(あや)しきまでに反動の勢力を現はし来りぬ。愛山生が徳川時代の文豪の遺風を襲ひて、「史論」と名(なづ)くる鉄槌を揮(ふる)ふことになりたるも、其の一現象と見るべし。民友社をして愛山生を起たしめたるも、江湖をして愛山生を迎へしめたるも、この反動の勢力の欝悖(うつぼつ)したる余りなるべし。 反動は愛山生を載せて走れり。而して今や愛山生は反動を載せて走

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文學界 二號」女學雜誌社、1893(明治26)年2月28日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1974(昭和44)年6月5日