せんしょくにかんするぶんけんのけんきゅう
染織に関する文献の研究

冒頭文

織物の發達は、世界の古い國々に於ても、支那は其の最も勝れた國であつて、殊に蠶絲の發達が古代からあつて、之を西洋の方にも輸出したのは前漢頃からでもあらうかと思はれ、日本に輸出されたのは後漢頃からではあるまいかと思はれる。兎も角絹の生産地として大變古い歴史を持つて居るのである。其の文獻に現はれたのも隨分古いので、先秦の古書と謂はれる尚書、詩經、周禮、爾雅といふ樣な書籍に見えて居つて、中にも尚書の益稷篇

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「古代織物」1925(大正14)年5月

底本

  • 内藤湖南全集 第八卷
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年8月20日