ねつい
熱意

冒頭文

真贄(しんし)の隣に熱意なる者あり。人性の中に若(も)し「熱意」なる原素を取去らば、詩人といふ職業は今日の栄誉を荷(にな)ふこと能はざるべし。すべての情感の底に「熱意」あり。すべての事業の底に熱意あり。凡(すべ)ての愛情の底に熱意あり。若しヒユーマニチーの中に「熱意」なるもの無かりせば、恐らく人間は歴史なき他の四足動物の如くなりしなるべし。 労働と休眠は物質的人間の大法なり、然れども熱意

文字遣い

新字旧仮名

初出

「評論 六號」女學雜誌社、1893(明治26)年6月17日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日