しまぎあかひこりんじゅうき
島木赤彦臨終記

冒頭文

一 大正十五年三月十八日の朝、東京から行つた藤沢古実(ふるみ)君が、柹蔭山房(しいんさんばう)に赤彦君を見舞つた筈(はず)である。ついで摂津西宮(にしのみや)を立つた中村憲吉君が、翌十九日の午(ひる)ちかくに到著した筈(はず)である。廿日夜、土屋文明(つちやぶんめい)君が東京を立つた。 翌廿一日の午(ひる)過ぎに、百穂(ひやくすゐ)画伯、岩波茂雄(しげを)さんと僕とが新宿駅を立つた

文字遣い

新字旧仮名

初出

「改造」1926(大正15)年5月

底本

  • 斎藤茂吉選集 第八巻
  • 岩波書店
  • 1981(昭和56)年5月27日