いまようふうふかたぎ |
今様夫婦気質 |
冒頭文
上 素麺は潰しても潰しの利かぬ学者の奥様 山の手のどこやらに、是波霜太(コレハシモタ)様とて、旦那は日々さるお役所の属官勤め、お髭もまだ薄墨の、多くはあらぬ御俸給ながら、奥様もさる学校の女教師様、お二方の収入を、寄合世帯の御仲睦しく、どちらが御主人とも分らぬ御会釈ぶり。お座敷にはちやんとお二方の机並べて、男女合宿の書生交際(つきあひ)、奥様役もかたみ代はり。毎朝の御出勤にも、旦那様
文字遣い
新字旧仮名
初出
「女学雑誌」1897(明治30)年7月25日、8月10日
底本
- 紫琴全集 全一巻
- 草土文化
- 1983(昭和58)年5月10日