てらだせんせいとぼく
寺田先生と僕

冒頭文

題名ほどの深い關係もないのであるが、科學ペンからの求めで、已むを得ずペンを執る。 僕が寺田先生を始めて知つたのは、多くの人がさうであるやうに、第一には「吾輩ハ猫デアル」の水島寒月に於て、また「三四郎」の野々宮理學士に於てである。これは書くまでもない至つて平凡なことである。只、その間、首くくりの力學には、始め滑稽を感じ、後學校で本物の力學を勉強するやうになつて畏敬と化した。首くくりはたしか

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「科学ペン」1937(昭和12)年12月号

底本

  • 海野十三メモリアル・ブック
  • 先鋭疾風社
  • 2000(平成12)年5月17日