こんいんのばいしゃく |
婚姻の媒酌 |
冒頭文
(一)毎々聞くことではあるが、世の中に、何がつまらぬ役目と云つても、祝言の仲人ほど、つまらぬものはない、祝言すんで、新婦新郎仲好く行けば、仲人には用事はない、善く行かずに苦情が出來たときは雙方の家の間に立つて、あちら立てれば、こつちが立たず、こちらの申條を立てやうとすると、あちらの申條を潰すことになり、心配なものである、だから、仲人するやうな愚者は、またと世の中にないと云ふ樣な述懷を、ときどき、耳
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「光壽 第二號」1921(大正10)年
底本
- 榊亮三郎論集
- 国書刊行会
- 1980(昭和55)年8月1日