閉戸閑詠 第一集 起丁丑七月 尽辛巳十月 昭和十二年(一九三七) 野翁憐稚孫 余この歳六月十五日初めて小菅刑務所より放たる 膝にだく孫の寝顔に見入りつつ庭の葉陰に呼吸ついてをり 七月七日 花田比露思氏の来訪を受く 有りがたや七年ぶりに相見ればふるさとに似し君のおもかげ 七月七日 獄をいでて 三首 獄をいでて街を歩