こくぶんがくのはっせい(だいいっこう) しゅうげんとじょじしと |
国文学の発生(第一稿) 呪言と敍事詩と |
冒頭文
一 日本文學が、出發點からして既に、今ある儘の本質と目的とを持つて居たと考へるのは、單純な空想である。其ばかりか、極微かな文學意識が含まれて居たと見る事さへ、眞實を離れた考へと言はねばならぬ。古代生活の一樣式として、極めて縁遠い原因から出たものが、次第に目的を展開して、偶然、文學の規範に入つて來たに過ぎないのである。 似た事は、文章の形式の上にもある。散文が、權威ある表現の力を持つて來る時代は
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「日光 第一卷第一號」1924(大正13)年4月
底本
- 折口信夫全集 第一卷
- 中央公論社
- 1954(昭和29)年10月1日