にほんこくげんざいしょもくろくについて
日本国見在書目録に就いて

冒頭文

古典の研究で尤大切なものは、或時代に編纂された書籍目録である。學者が千歳の後に生れて、古書の佚存を知り、或程度まで學術の源委と、時代の學風とを窺ふことの出來るのは、目録に負ふ所が多い。殊に支那の如き秦皇の焚書によつて經籍殘缺したと云ふ事實があり、それから後世に至るまで書籍の散佚が多いと同時に古書の僞作も亦盛んに行はるゝ所には、本文研究の上に於て、極めて緊要なものである。是れ西漢の世、已に劉向父子な

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「藝文 第一年第一號」1910(明治43)年4月

底本

  • 支那學文藪
  • みすず書房
  • 1973(昭和48)年4月2日