ときおさんのこと
時男さんのこと

冒頭文

時男さん——それは私の幼な友だちの名まへです。年は三つ違ひで、私が尋常科三年生の時、時男さんは六年生でありました。だから、お友だちといふよりも、まあ兄さんのやうなものでした。 私は、父と母と三人暮しで、町はづれの借家に住んでゐました。そこから、父は町のお役所へ、毎日通つてゐました。時男さんの家は、私の家から三軒目の隣でした。私が三年生になつたばかりの頃、時男さんは、外からそこへ移つて来た

文字遣い

新字旧仮名

初出

「童話」コドモ社、1924(大正13)年5月

底本

  • 日本児童文学大系 第九巻
  • ほるぷ出版
  • 1977(昭和52)年11月20日