そり(どうわ)
そり(童話)

冒頭文

一 はてもない雪の野原を、二頭だてのそりが一だい、のろ〳〵と動いてゐました。そりにつけた鈴が、さびしい音をたてました。まつ白にこほりついた、ぼろござをきせられた馬は、にえたつた湯気のやうな息を、ひゆう〳〵はきつゞけました。 ぎよ車台には、こちらの村の百姓の子で、今年十三になるリカがすわつてゐます。お父つァんの古帽子をかぶつて来たのはいゝけれど、とてもづば〳〵で、ちよいとでもうつ向く

文字遣い

新字旧仮名

初出

「赤い鳥」1932(昭和7)年1月~2月

底本

  • 日本児童文学大系 第一〇巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日