せいぶげきつうしん |
西部劇通信 |
冒頭文
(都の友に贈つた手紙) この写真を御覧——。 一見すると、まさにアメリカ・インデアンの屯所と見られるだらうが、好く好く見ると僕をはぢめいろいろ君の知つてゐる顔であることに気づくだらう。僕等は此処に斯んな小屋がけをしておいて、月の凡そ半分を村の仮宿から此処に移つて奇体な原始生活を営むのだ。 この小屋の傍らには綺麗な小川が流れて居り、この辺一帯は至極日あたりのなだらかな丘なの
文字遣い
新字旧仮名
初出
「時事新報 第一六七八三号~第一六七八七号」(第一六七八六号は休載)1930(昭和5)年3月5~9日(8日は休載)
底本
- 牧野信一全集第三巻
- 筑摩書房
- 2002(平成14)年5月20日