なつめそうせきろん
夏目漱石論

冒頭文

一、今日の地位に至れる径路 政略と云うようなものがあるかどうだか知らない。漱石君が今の地位は、彼の地位としては、低きに過ぎても高きに過ぎないことは明白である。然れば今の地位に漱石君がすわるには、何の政策を弄するにも及ばなかったと信ずる。   二、社交上の漱石 二度ばかり逢ったばかりであるが、立派な紳士であると思う。   三、門下生に対する態度 門下生と云うような人物で

文字遣い

新字新仮名

初出

1910(明治43)年7月

底本

  • 歴史其儘と歴史離れ 森鴎外全集14
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年8月22日