めいじのせんそうぶんがく |
明治の戦争文学 |
冒頭文
第一章 序、戦争と明治の諸作家 明治維新の変革以後、日本資本主義は、その軍事的であることを、最も大きな特色の一つとしながら発展した。 それは、維新後の当初に於ては、おくれて発達した資本主義国として、既に帝国主義的段階への過渡期に入りつゝあった世界資本主義に対抗するため軍備の力が必要だった。しかし、その軍事的性質は、国民的解放の意義が失われ過ぎ去った後までも存続し、日清、日露の戦
文字遣い
新字新仮名
初出
「明治文学講座 第四巻」木星社、1932(昭和7)年3月
底本
- 黒島傳治全集 第三巻
- 筑摩書房
- 1970(昭和45)年8月30日