いようへん
異妖編

冒頭文

K君はこの座中で第一の年長者であるだけに、江戸時代の怪異談をたくさんに知っていて、それからそれへと立て続けに五、六題の講話があった。そのなかで特殊のもの三題を選んで左に紹介する。     一 新牡丹燈記 剪燈新話のうちの牡丹燈記を翻案した、かの山東京伝の浮牡丹全伝や、三遊亭円朝の怪談牡丹燈籠や、それらはいずれも有名なものになっているが、それらとはまたすこし違ってこんな話が伝えられている

文字遣い

新字新仮名

初出

新牡丹燈記「写真報知」1924(大正13)年6月、寺町の竹藪「写真報知」1924(大正13)年9月、龍を見た話「週刊朝日」1924(大正13)年10月

底本

  • 影を踏まれた女
  • 光文社文庫、光文社
  • 1988(昭和63)年10月20日