かていあいぞうしんじゅつ ――かたでなしに
家庭愛増進術 ――型でなしに

冒頭文

わたくしは自分達(たち)を夫とか妻とか考えません。 同棲(どうせい)する親愛なそして相憐(あいあわ)れむべき人間同志と思って居(い)ます。そして元来(がんらい)が飽(あ)き安い人間の本能を征服出来(でき)て同棲を続ける者同志の因縁(いんねん)の深さを痛感します。わたくしは因縁こそ実に尊(とうと)くそれを飽迄(あくまで)も大切にすべきものだと信じて居(お)ります。其処(そこ)に優しい深切(

文字遣い

新字新仮名

初出

「婦人画報」1929(昭和4)年3月号

底本

  • 愛よ、愛
  • パサージュ叢書、メタローグ
  • 1999(平成11)年5月8日