こうだんせんせい
講談先生

冒頭文

僕は天性模倣癖旺盛で、忽ち人の感化を受けてしまう。だから、人の影響はのべつ受けてばかりいて、数えあげればキリがない。けれども、この人には負けたくない、というような敵意を持つ場合もあるもので、この人の作品を読むと惹きこまれるから、もう読むまいと決心するようなこともあった。これが本当の影響を与えた人かも知れないが、こういう本当の書斎の中へは他人を入れたくないから、僕は語らない。 僕は今書いて

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代文学 第六巻第三号」1943(昭和18)年2月28日

底本

  • 坂口安吾選集 第五巻小説5
  • 講談社
  • 1982(昭和57)年6月12日