ぶんしょうそのた
文章その他

冒頭文

私は元来、浅学と同時に物臭の性で、骨を折つてまで物事を理解しようなぞといふ男らしい精神は余り恵まれてゐない。そのせいで、観賞に時代の割引を余儀なくされ、その理解に一々なにがしの造詣を必要とする古典芸術なるものは、見ない先から逃げたがる風であつた(ある)。順(したが)つて、その方面の知識はない。 たま〳〵退屈の然らしめた悪戯で、文楽の人形芝居を見た。「合邦」の「合邦内の段」といふものであつ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「鷭 第一輯」鷭社、1934(昭和9)年4月11日

底本

  • 坂口安吾全集 01
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年5月20日