ひげのなぞ |
髭の謎 |
冒頭文
博士の死 それは寒い寒い一月十七日の朝のことです。四五日前に、近年にない大雪が降ってから、毎日曇り空が続き、今日もまた、ちらちら白いものが降っております。 塚原俊夫君と私とは、朝飯をすましてから、事務室兼実験室で、暖炉を囲んで色々の話をしておりました。と、十時頃、入口の扉(ドア)を叩く音がしましたので、私が開けてみると、二十歳ばかりの美しいお嬢さんが、腫(は)れあがった瞼(まぶ
文字遣い
新字新仮名
初出
「子供の科学 二巻六~八号」1925(大正14)年6~8月号
底本
- 小酒井不木探偵小説選 〔論創ミステリ叢書8〕
- 論創社
- 2004(平成16)年7月25日