すいをろんじて「きゃらまくら」におよぶ |
粋を論じて「伽羅枕」に及ぶ |
冒頭文
心して我文学史を読む者、必らず徳川氏文学中に粋なる者の勢力おろそかならざりしを見む。巣林子以前に多く此語を見ず、其尤も盛なるは八文字屋以後にありと云ふべし。彼の所謂(いはゆる)洒落本(しやれほん)こんにやく本及び草紙類の作家が惟一(ゆゐいつ)の理想とし、武道の士の八幡摩利支天(まりしてん)に於けるが如く此粋様を仰ぎ尊みたるの跡、滅す可からず。 粋様の系統を討(たづ)ぬれば、平安朝の風雅之
文字遣い
新字旧仮名
初出
「透谷全集」博文館、1902(明治35)年10月1日
底本
- 現代日本文學体系6 北村透谷・山路愛山集
- 筑摩書房
- 1969(昭和44)年6月5日