つきよ |
月夜 |
冒頭文
お幸(かう)の家は石津村(いしづむら)で一番の旧家でそして昔は大地主であつた為(た)めに、明治の維新後に百姓が名字(みやうじ)を拵(こしら)へる時にも、沢山の田と云(い)ふ意味で太田(おほた)と附(つ)けたと云はれて居ました。それだのに祖父の時に自身が社長をして居た晒木綿(さらしもめん)の会社の破綻(はたん)から一時に三分の二以上の財産を失ひ、それから続いてその祖父が亡くなり、代つて家長になつたお
文字遣い
新字旧仮名
初出
「少女の友」実業之日本社、1918(大正7)年10月
底本
- 日本児童文学大系 第六巻
- ほるぷ出版
- 1978(昭和53)年11月30日