にとせろうじん |
再度生老人 |
冒頭文
私が十一の頃、私の家の近所の寺に、焼和尚(やけおしょう)という渾名(あだな)のお坊さんが住んでいた。私はこれから、この話を、その焼和尚のことから始めようと思う。…… 焼和尚は坊さんのくせに、大変女が好きだった。そして、彼の前身を知っている人の話によると、彼は、若い時分には盛んに発展し、やたらと女を買ったものだということだった。彼の頭が、薬罐(やかん)のように、赤くてかてかと禿げているのも
文字遣い
新字新仮名
初出
「宇宙」1928(昭和3)年9月号
底本
- 佐左木俊郎選集
- 英宝社
- 1984(昭和59)年4月14日