一 灌木(かんぼく)と雑草に荒れた叢(くさむら)は、雑木林(ぞうきばやし)から雑木林へと、長い長い丘腹(きゅうふく)を、波をうって走っていた。 茨の生える新畑(あらばたけ)は、谷から頂へ向けて、ところ斑(まだら)に黝(くろず)んでいた。 梅三爺(うめぞうじい)の、一坪四銭五厘で拓(ひら)く開墾区域は、谷のせせらぎに臨んで建った小屋の背後(うしろ)から続いていた。