ににろくじけんについて
二・二六事件に就て

冒頭文

一 二月二十日の総選挙に於(おい)て、国民の多数が、ファッシズムへの反対と、ファッシズムに対する防波堤としての岡田内閣の擁護とを主張し、更にその意志を最も印象的に無産党の進出に於て表示したる後僅(わず)かに数日にして起こった二・二六事件は、重要の地位にある数名の人物を襲撃し、遂に政変を惹起(じゃっき)するに至った。       二 先(ま)ず吾々(われわれ)は、〈残酷〉なる銃剣の

文字遣い

新字新仮名

初出

「帝国大学新聞」1936(昭和11)年3月9日

底本

  • 近代の文章
  • 筑摩書房
  • 1988(平成元)年1月15日