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冒頭文
一 去年の夏、本間久雄君が早稲田文学で「民衆芸術の意義及び価値」を発表して以来、此の民衆芸術と云う問題が、僕の眼に触れただけでも、今日まで十余名の人々によって彼地此地(あちこち)で論ぜられている。其の都度(つど)僕は、一つは民衆と云う事をいつも議論の生命とし対象としている僕自身の立場から、もう一つは誰れ一人として本当に此の民衆芸術と云う問題の真髄を掴えている人のいないらしいのに対する遺憾から
文字遣い
新字新仮名
初出
「早稲田文学」1917(大正6)年10月号
底本
- 日本プロレタリア文学評論集・1 前期プロレタリア文学評論集
- 新日本出版社
- 1990(平成2)年10月30日