けごんのたき |
華厳滝 |
冒頭文
一 昭和二年七月の九日、午後一時過ぐるころ安成子(やすなりし)の來車を受け、かねての約に從つて同乘して上野停車場へと向つた。日本八景の一と定められた華嚴(けごん)の瀑布及びその附近景勝遊覽のためであつた。 二時五分の日光直行の汽車はわれ等二人を乘せてはしり出した。車窓の眺めは例によつて例の如しであるから退屈の餘りの時間を雜談に消すほかはなかつたが、安成子は職分に忠實なので、しき
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「東京日日新聞」1927(昭和2)年8月1日~8日
底本
- 現代日本紀行文学全集 東日本編
- ほるぷ出版
- 1976(昭和51)年8月1日