「あぶらじごく」をよむ (〔さいとう〕りょくうちょ)
「油地獄」を読む (〔斎藤〕緑雨著)

冒頭文

刑鞭を揮(ふる)ふ獄吏として、自著自評の抗難者として、義捐(ぎえん)小説の冷罵者として、正直正太夫の名を聞くこと久し。是等の冷罵抗難は正太夫を重からしめしや、将(は)た軽からしめしや、そは茲(こゝ)に言ふ可きところならず、余は「油地獄」と題する一種奇様の小説を得たるを喜び、世評既に定まれりと告ぐる者あるにも拘(かゝは)らず、敢て一言を揷まんとす。 「油地獄」は「小説評註」と、「犬蓼(いぬたで

文字遣い

新字旧仮名

初出

「女學雜誌 三一五號~三一七號」女學雜誌社、1892(明治25)年4月30日、5月7日、5月14日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日