いっしゅのじょういしそう
一種の攘夷思想

冒頭文

三千年を流るゝ長江漫𣾘(まんばう)たり、其始めは神委にして、極めて自然なる悖生(ぼつせい)にゆだねたり、仲頃、唐宋の学芸を誘引し、印度(インド)の幽玄なる哲学的宗教に化育せられたりと雖(いへども)、凡(すべ)ての羣流(ぐんりう)、凡ての涓澮(けんくわい)を合せて、長江は依然として長江なり。満土を肥沃し、生霊を育成し、以て今日に至らしむ、この長江、豈(あ)に維新の革命によりて埋了し去ることあらんや

文字遣い

新字旧仮名

初出

「平和 三號」平和社(日本平和會)、1892(明治25)年6月15日

底本

  • 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
  • 筑摩書房
  • 1969(昭和44)年6月5日