とるすといはく |
トルストイ伯 |
冒頭文
「聖(きよ)くまことなる心、無極の意と相繋がる意、世の雑染を離れて神に達するの眼(がん)、是等の三要素を兼有する詩人文客の詞句を聴くは楽しむ可きかな。」 とは英人某がトルストイ伯を崇(あが)めたる賛辞なり。露国が思想の発達に於て欧洲諸隣国に後(おく)れたる事、既に久し。其記者が仏独の旧形を摸倣するに甘んじて、創造の偉功を顕はさゞる事も、亦(ま)た已(すで)に久しと云ふべし。然(しか)れども形
文字遣い
新字旧仮名
初出
「平和 二號」平和社(日本平和會)、1892(明治25)年5月18日
底本
- 現代日本文學大系 6 北村透谷・山路愛山集
- 筑摩書房
- 1969(昭和44)年6月5日