ちゃばなし 09 しょうわに(せんきゅうひゃくにじゅうしち)ねん
茶話 09 昭和二(一九二七)年

冒頭文

暗示 5・1 中央公論 1 かういふ話がある。 ある時、山ぞひの二また道を、若い男と若い女とが、どちらも同じ方向をさして歩いてゐたことがあつた。 二また道の間隔は、段々せばめられて、やがて一筋道となつた。見ず知らずの二人は、一緒に連立つて歩かなければならなくなつた。 若い男は、背には空になつた水桶をかつぎ、左の手には鶏をぶら提げ、右

文字遣い

新字旧仮名

初出

「中央公論」1927(昭和2)年5月1日

底本

  • 完本 茶話 下
  • 冨山房百科文庫、冨山房
  • 1984(昭和59)年2月28日