ジュパンとカリング |
ヂュパンとカリング |
冒頭文
一 オーギュスト・ヂュパンはポオの三つの探偵小説、「モルグ街の殺人」、「マリー・ロージェー事件」、「盗まれた手紙」にあらわれる探偵であって、いわば、探偵小説にあらわれた探偵の元祖である。もっとも「探偵(デテクチヴ)」なる名称はガボリオーの小説あたりから使用され、ポオはヂュパンのことを別に私立探偵とも素人探偵とも呼ばなかった。 しかしながら、ヂュパンは、「探偵」に必要な条件を殆んど皆
文字遣い
新字新仮名
初出
「新青年」博文館、1926(大正15)年新春増刊号
底本
- 探偵クラブ 人工心臓
- 国書刊行会
- 1994(平成6)年9月20日