かいだんきだん
怪談綺談

冒頭文

はしがき 伽婢子(おとぎぼうこ)の昔から日本も随分怪談に恵まれているが、その話は多くは似たり寄ったりで、事実談として紹介されているものも大抵千遍一律である。で、私はこれから西洋の文献を探していささか変ったところを紹介しようと思う。     恐ろしい額 ガリチアの山奥に美しい古い城がある。これはその地方を統轄しているラ伯爵の居城であって、伯爵には子供がなく、姪のアグニスを引き取って

文字遣い

新字新仮名

初出

「講談倶楽部」1928(昭和3)年3月

底本

  • 探偵クラブ 人工心臓
  • 国書刊行会
  • 1994(平成6)年9月20日