ノンセンス |
呑仙士 |
冒頭文
筆者は酒が一滴も飲めないのに、友達は皆酒豪ばかりと言っていい。しかも現代を超越した呑仙士(ノンセンス)ばかりで、奇抜、痛快の形容を絶した逸話をノベツに提供して、筆者の神経衰弱を吹き飛ばしてくれる。 福岡の九州日報社という民政系の新聞社にいる頃、社員で酒を飲まないのは私一人であった。 私と一緒に地方版の編集をやっていた松石という男は、月末近くなると、茶褐色に変色したカンカン帽を持
文字遣い
新字新仮名
初出
「モダン日本 6巻2号」1935(昭和10)年2月
底本
- 夢野久作全集7
- 三一書房
- 1970(昭和45)年1月31日