はたらくまち
働く町

冒頭文

ある国で第一番の上手というお医者さんが、ある町に招かれて来ました。お医者さんは町に着くと直ぐ、 「ここの人はどうして一日を過ごしていますか」 と尋ねました。 町の人はこう答えました。 「別に変った生活もしませんが、私達は日の出前に起床し、日が暮れて床に就き、明るいうちはせっせと働いて日を送っています。又餓(ひも)じい時はお腹を一パイにするだけ御飯を食べます」 と答

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1922(大正11)年12月25日

底本

  • 夢野久作全集7
  • 三一書房
  • 1970(昭和45)年1月31日