キャラメルとあめだま |
キャラメルと飴玉 |
冒頭文
キャラメルと飴玉(あめだま)とがお菓子箱のうちで喧嘩をはじめました。 「ヤイ、飴玉の間抜け野郎。貴様はまん丸くて甘ったるいばかりで何にもならないじゃないか。俺なんぞ見ろ。ちゃんと着物を着て四角いおうちにはいっているんだぞ。貴様なんぞは着物なんか欲しくたって持たないだろう。態(ざま)をみろヤーイ」 飴玉は真赤になって憤(おこ)り出しました。 「失敬なことを言うな。うちにいる時は裸だ
文字遣い
新字新仮名
初出
「九州日報」1922(大正11)年12月7日
底本
- 夢野久作全集7
- 三一書房
- 1970(昭和45)年1月31日