たこのあし
章魚の足

冒頭文

凧(たこ)屋の店にいろいろ並んでいる凧の中で、達磨(だるま)と章魚(たこ)とが喧嘩をはじめました。 「ヤイ達磨の意気地なし。貴様は鬚なんぞ生やして威張っていても、手も足も出ないじゃないか。俺なんぞ見ろ。こんなに沢山イボイボの付いた手を八つも持っているんだぞ」 「そんな無茶を言うものでない。お前も坊主なら乃公(おれ)も坊主だ。坊主同士だから仲よくしようじゃないか」 「おれが貴様みたような奴

文字遣い

新字新仮名

初出

「九州日報」1922(大正11)年11月20日

底本

  • 夢野久作全集7
  • 三一書房
  • 1970(昭和45)年1月31日