『それから』よこく |
『それから』予告 |
冒頭文
色々な意味に於てそれからである。「三四郎」には大学生の事を描(かい)たが、此(この)小説にはそれから先の事を書いたからそれからである。「三四郎」の主人公はあの通り単純であるが、此主人公はそれから後(あと)の男であるから此点に於ても、それからである。此主人公は最後に、妙な運命に陥(おちい)る。それからさき何(ど)うなるかは書いてない。此意味に於ても亦(また)それからである。
文字遣い
新字旧仮名
初出
「大阪朝日新聞」1909(明治42)年6月20日、「東京朝日新聞」1909(明治42)年6月21日
底本
- 漱石全集 第十六巻
- 岩波書店
- 1995(平成7)年4月19日