めいじさんじゅういちねんさんがつじゅうににちみたえんぜつかいにおけるえんぜつ |
明治三十一年三月十二日三田演説会に於ける演説 |
冒頭文
自尊自大と云ふことは固より惡いことはない。こりや人情の自然で、即ち愛國心の命ずる所であるから、或は小供などには殊更らに之を勸めるも宜しい、又勸めなければならぬであらう。譬へば英吉利で學校の小供に地理を教へる、所で英吉利の彼の島を露西亞や亞米利加の領分に比すれば如何にも小さくて何だか風が惡いと云ふところからして、別段に地圖を拵えて殊更らに自分の國を大きく書いて小供に教へて居ると云ふことがありました。
文字遣い
旧字旧仮名
初出
「慶應義塾學報 第二號」1898(明治31)年4月
底本
- 福澤諭吉全集 第19卷
- 岩波書店
- 1962(昭和37)年11月5日