じょじょうしについて |
抒情詩に就て |
冒頭文
観相をのみ崇みて、ひたぶるに己が心を虚うせむと力むるあり。かくの如くにして得たる書に眼を曝らすものゝ、たゞこれ消閑の為めにして、詩の意義のかたはしをだに解し得ざらむとするも理なり。こゝに世の趣味の卑きを嘆じぬとも、やがてその声の空しかるべきは言ふをも俟たじ。かゝる時に際してかのはかなき抒情詩の他が一顧盻を冀ふに値するや否やを問ふは愚なるべし、そは新しと雖もなほかた生(お)ひの歌なり、こゝろさへ言(
文字遣い
新字旧仮名
初出
「新声 第四編第七号」1900(明治33)年12月
底本
- 蒲原有明論考
- 明治書院
- 1965(昭和40)年3月5日