こかしんしゃく |
古歌新釈 |
冒頭文
自分は、かね〴〵従来の文章の解釈法、殊に和歌に就いて、先達諸家のやりくちに甚だ慊らぬふしが多い様に思うて居る。もと〳〵、解釈と訓詁とは主従の関係に立つもので、前者が全般的なるに対して、後者は部分的である。徹頭徹尾後者は部分的といふ絶対性をもつて居る。部分的なるものゝ全般的に拡充するには、数多の部分性の集合を要する。畢竟部分性は物の一面である。立体的事実を築き上げるには、必ず異平面の集合を要するので
文字遣い
新字旧仮名
初出
「わか竹 第三巻第四号」1910(明治43)年4月
底本
- 折口信夫全集 12
- 中央公論社
- 1996(平成8)年3月25日