たんかのこうごてきはっそう
短歌の口語的発想

冒頭文

短歌に口語をとり入れることは、随分久しい問題である。さうして今に、何の解決もつかずに、残されてゐる。 一体どの時代でも、歌が型に這入つて来ると、大抵は珍しい語に逃げ道を求めた。形式の刺戟によつて、一時を糊塗しようとするのである。若しわれ〳〵が、文献に現れた死語・古語の中から、当時に於ける口語・文語が択り分けられるとしたならば、必、多くの口語的発想を見出すことが出来ようと思ふが、今日では容易な仕事

文字遣い

新字旧仮名

初出

「アララギ 第十巻第三号」1917(大正6)年3月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日