一 ——けなばけぬかに 道に逢ひてゑますがからに、零雪乃消者消香二恋云(フルユキノケナバケヌカニコフトフ)わぎも(万葉巻四) ……まつろはず立ち対ひしも、露霜之消者消倍久(ケナバケヌベク)、ゆく鳥のあらそふはしに、(同巻二) 一云ふ、朝露之消者消言(香かと云ふ)爾うつそみとあらそふはしに 私は、今の場合、「けなばけぬかに」を主題としようとするのではない。だ