すうがくしのけんきゅうにつきて |
数学史の研究に就きて |
冒頭文
私が数学史の研究に着手したのは、明治三十八年のことであった。これより先米国の数学者ハルステッド博士とふとしたことから文通上の知りあいとなり、同氏の勧めによって外国へ紹介する目的で少しばかり日本の数学のことを書いてみるつもりで着手したが、この頃に参考の書類といえば、故遠藤利貞翁の、『大日本数学史』(明治二十九年刊)があるばかりで、しかもその記事は了解し難きところ多く、古い日本の算書すなわち所謂和算書
文字遣い
新字新仮名
初出
「飽薇 第七巻第一―三号」1931(昭和6)年
底本
- 文化史上より見たる日本の数学
- 岩波文庫、岩波書店
- 1999(平成11)年 4月16日