チェーホフしろん ――チェーホフじょせつのいちぶとして―― |
チェーホフ試論 ――チェーホフ序説の一部として―― |
冒頭文
1 チェーホフの人柄については、コロレンコ、クープリン、ブーニン、ゴーリキイの回想をはじめ、弟ミハイール、妻オリガ、スタニスラーフスキイなど芸術座の人びと、そのほか無数といっていいほどの遠近の知人による証言がある。その内容は一見驚くほど似通っていて、一つの調和あるチェーホフ像を浮びあがらせ、ほかのロシア作家に見られるような毀誉褒貶の分裂がない。コロレンコは二十七歳のチェーホフの風貌を描い
文字遣い
新字新仮名
初出
「文芸」1954(昭和29)年10月
底本
- 日本現代文學全集 91 神西清・丸岡明・由起しげ子集
- 講談社
- 1966(昭和41)年10月19日