うたまろざんげ えどめいじんでん |
歌麿懺悔 江戸名人伝 |
冒頭文
一 「うッふふ。——で、おめえ、どうしなすった。まさか、うしろを見せたんじゃなかろうの」 「ところが師匠(ししょう)、笑わねえでおくんなせえ。忠臣蔵の師直(もろのお)じゃねえが、あっしゃア急に命が惜しくなって、はばかりへ行くふりをしながら、褌(ふんどし)もしずに逃げ出して来ちまったんで。……」 「何んだって。逃げて来たと。——」 「へえ、面目(めんぼく)ねえが、あの体で責(せ)められたんじ
文字遣い
新字新仮名
初出
「面白倶楽部」1948(昭和23)年4月号
底本
- 歴史小説名作館8 泰平にそむく
- 講談社
- 1992(平成4)年7月20日