六歳のをり、寺小屋式の小學校へはいりまして、その年の暮か、または一二年たつてかのお席書(せきが)きに、「南山壽」といふのを覺えました。だが、この欄に書かうと思ひますのは、それよりもまた一年位たつてから書きました、 百尺竿頭更一歩進 といふのでございます。これは、わたくしが、物を覺え、よく記憶したはじめての句だといつてもよいかと思ひます。字句の置きかたは、今まであまり心にして