さつじんめいろ 09 (れんさくたんていしょうせつだいきゅうかい)
殺人迷路 09 (連作探偵小説第九回)

冒頭文

洋装の女 どこで何をしていたのか、新聞記者の村井は、星田代二が検事の第一回訊問を受けた日、彼が警視庁へかえされたのと入れちがいに、検事局の構内に姿を現わした。しかも、彼は、今日がはじめての訪問ではないらしく、わき眼もふらず、真直ぐに、二木検事の調室に歩いて行って、特長のあるドアの叩き方をした。 書記がドアを開いた。 「どうだった、君?」 勝ち誇ったように、村井は微笑した

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵クラブ」1933(昭和8)年3月号

底本

  • 「探偵クラブ」傑作選 幻の探偵雑誌8
  • 光文社文庫、光文社
  • 2001(平成13)年12月20日